雑記11

イヤのホン

昔からイヤホンを壊しまくる男で、有線ケーブルを使っていた頃は半年に1回のペースで葬り続けていた。
初めてオーディオプレイヤーを手にしてから10年くらいして漸くワイヤレスに乗り換えたわけだから、概算で20本は壊していることになる。そう計算してみても意外と大袈裟じゃないと言うか、思い返してみればそんなもんだろうなと納得できるくらいだから悲惨だ。
どんなに丁重に扱おうが半年経てばどこかしらが断線するから、じゃあ最初から安いものを買っちまった方が負債は少なくて済むと、しばらくはコンビニで1000円で買ったゲロみたいな音質のイヤホンを愛用していた。どんな曲でも中音域を潰して極端なドンシャリに仕立て上げてくれる、魔法のイヤホンだった。少なくともこいつは1ダースくらいは消費したので、安かろうが悪かろうが僕の相棒ではあった。

僕がドンシャリと愛し合っている最中にも技術の発展は目覚ましいもので、気が付けば周りの人間はBluetoothを巧みに使いこなし、ワイヤレスイヤホンを首からぶら下げていた。
これは凄いなとそいつらに言うと、フルワイヤレスイヤホンはもっと凄いと返された。左右が独立していて、耳栓のようなつくりをしていると言う。最初からケーブルが無けりゃ、断線の心配をする必要も無い。これはもっと凄い。何故今まで手を出さなかったのか悔やまれた。

とりあえず有象無象の安い機種の中でも評価が高いアンカー製のものを買った。
安いと言えど5000円、コンビニのゲロイヤホン5本分の値段である。ならば耐久性もゲロイヤホン5本分の2年半でなければなるまい。期待していたが、簡単に裏切られた。半年経って、左耳が完全に機能しなくなった。半年クラッシュ記録の更新だ。
最初にこのイヤホン越しに曲を聴いた時は感激した。これがBluetoothか、文明は人を豊かにするものだなと本気で感激したのだが、半年でイカれちまうものに世話は無い。

左耳がイカれたのなら、左右が繋がっているタイプのものならどうだろうと、次に買ったのはAKGの一番売れているやつだった。価格はアンカーの3倍、1万の大台を軽く超えた。15ゲロイヤホンと書くと、その凄まじさが分かると思う。

確かに左耳だけ聞こえないなんてことは無くなったが、これも半年してリモコンが効かなくなった。あまりにも動かないもんで腹が立って中身をこじ開けたら、小さなバネがそこから飛び出して、部屋のどこかに消えた。それを見て、諦めた。

次に買ったのはRHAの中でもリーズナブルでとりわけ評判がいいやつだった。今回は大分値段が下がり、10ゲロだった。

御多分に漏れず、半年でブチ壊れた。これもリモコンがうまいこと機能しなくなったと思ったら、間を置かずして左耳からノイズが走るようになり、それはやがて右耳に広がった。最後にはか細いノイズを残して、何も聞こえなくなった。

有線だろうがワイヤレスだろうが、僕の手元に来ればイヤホンはちゃんと半年で壊れてくれる。僕は半分ヤケになり、いっそのこと一つ試してみようと思った。
今まで買ったことないくらいの高級なイヤホンを買い、それでも尚壊れるなら僕の勝ちとする。壊れずに現役で頑張ってくれれば、イヤホンの勝ちとする。壊れら壊れたで僕の勝利だから気分がいいし、壊れないなら壊れないでそれに越したことは無い。WIN-WINの天才的な発想だった。

Bose SoundSport Free wireless headphones 完全ワイヤレスイヤホン トリプルブラック
 

BOSEのSOUNDSPORT FREE。しばらくぶりの完全フルワイヤレス。音質は流石に天下のBOSE、おまけに防水、防滴、衝撃にも強い。値段は驚愕の25ゲロ。
結論から言うと、半年もしないうちに左耳がおシャカになった。さっきの話で言えば僕が勝ったことになる。気分がいいわけがない。25000円だぞ、マジでどうしてくれんだよ。
こればかりは流石に買い替える気が起きず、カスタマーセンターにメールを入れた。すると後継機が既に出回っている関係上、補償の対象外になっているらしかった。その代わりに後継機を安く売ってやるから、それを買えと言う。ふざけんなと思いつつ、本来24ゲロのところを17ゲロで買った。僕の敗北だ。ゲロカスゴミクズ卍Xだ。

僕のイヤホンの扱い方が根本的にイカれているのか、そうでもなけりゃイヤホンの神様に呪われているのだと思う。
早くお祓いに行ってやらないと、次のイヤホンだって半年も持たないに決まっている。どこにあるって言うんですか、イヤホンの神社。